事務所だより

駐在員トピックス

中国中央電子台による消費者啓蒙番組「3.15晩会」

中国駐在員報告
2016年4月 社会・時事
駐在員 : 石井亘
中国中央電子台(CCTV)は、3月15日の「国際消費者権益デー」に合わせて、毎年「中国人消費者の権益保護と啓蒙」をテーマとし、中央・地方政府の取組みや関連法の紹介、消費者に重大な不利益を与える企業・団体への潜入取材で構成される特別番組「3.15晩会」を放映している。1991年に第一回目の放送があり今回が26回目となる。CCTVが番組を制作し、最高人民法院、最高人民検察院、公安部、司法部、国家衛生計画生育委員会、国家工商行政管理総局、国家食品薬品監督管理総局等15の国家機関と中国消費者協会が協力をしている。

過去の放送では中国企業だけでなく、中国の消費者に広く知られた欧米・日系企業も取り上げられ話題となった。日系企業については2014年にNikonが同社デジタルカメラ上の欠陥及びその修理が不完全であるとされたほか、2015年の放送では、日産自動車の中国での合弁会社である東風日産が他の外国資本の自動車メーカーとともに過剰修理により不当な利益を得ていると報道された。番組の影響力が大きいことから、近年は経営コンサルタント会社が3月15日の放送前にどのような業種、企業が取り上げられるかと予想し、また報道された場合、どのようにマスコミ、一般消費者に対応し、マイナスイメージを最小限に抑えるかといったレポートを発表するなどしている。

幸いなことに今年の放送では日系企業は対象とならなかった。今回取り上げられた主な企業としては、インターネットを利用したレストランからの食事配送サービス事業の「飢了麼」、個人間の中古車販売仲介業者の「車易拍」及び義歯製造業者等がある。「飢了麼」については広告の店舗写真等が実際と異なっていることや、レストランではなく一般住居の衛生管理が不十分な調理場で調理した食事を配送していることが記者の潜入取材による映像で紹介され、翌日関係機関が現場に赴き監督指導をしたことが大きく報道された。スマートフォンの普及とともにインターネットを利用した商業行為が急速に拡大していることから、今回の放送でもインターネットを利用した業種が取り上げられたと専門家は分析している。

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