事務所だより

駐在員トピックス

変わりゆく中国

2011年6月に上海に赴任し、約5年間の任期を終え、3月末に帰国する。この間、身の回りで起きた変化を肌で感じて来た。

中国のGDPは2009年に日本を抜き、2014年には日本の2倍以上となった。このことに対しては、一人当たりGDPがまだまだ途上国の水準にあるとして、国民の生活水準について疑問視する向きもある。

もちろん、農村や内陸部など、様々な格差は大きなものがあるが、上海で生活している限りでは、多くの一般国民が日本と変わらない、一部ではそれ以上の豊かさを享受しているように見える。

赴任した頃には、職場付近の少し高級な日本式居酒屋は、日本人がたむろする場所であったが、今では中国人の方が多いことが珍しくない。日本の有名なアパレル量販店や雑貨のチェーン店は、商品の価格が日本より相当高いのだが、私などが価格を吟味して慎重に選んでいる傍らで、若い中国人が買い物カゴに次から次へと商品を放り込んでいる。

2009年に開港した富士山静岡空港。私も路線誘致や維持拡大のために各地にプロモーションに駆け回ったが、長らく上海便一路線であった中国への直行便が、2015年には中国各地から多くの直行便が就航し、マスコミにも取り上げられるようになった。

多くの中国人が日本を訪問する理由が、モノが安全で安心でき「安いから」というのは、しばらく前の中国を知るものからすると、驚きである。しかも、2012年の反日運動では、日本製品ボイコットをスローガンに暴れていたのに、である。

PM2.5に象徴される環境問題がクローズアップされ、人々の意識も高まった。赴任後に最初に迎えた2012年の春節は、例えは悪いが、町中が内戦状態になったようにも思えるほど、至る所で鳴る花火や爆竹の轟音に、本当に驚いたのだが、2016年の春節は、上海市中心部で火災防止と大気汚染対策のためにこれが条例で禁止され、信じられないほどの静けさだった。

ますます豊かで便利になり、市民の意識も変わる中国。私が見てきたのは中国の一側面に過ぎないが、どれも直接触れた事実である。これらの体験を日本の皆様に様々な機会に伝え、相互理解に資することができれば幸いである。

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