4月18日、上海市で第20回目となる上海モーターショーが開幕した。22~27日には一般公開が行われ、1,000社を超える自動車関連企業が出展した。
「世界で最も先進技術の受容性が高い」と評される中国市場だが、その一例が新エネルギー車の普及である。電気自動車(EV車)、ハイブリッド車、燃料電池車、水素自動車など技術開発が進む新エネルギー車の中でも、中国ではEV車の普及が顕著で、新車販売の5台に1台を占めている。現地では、EV車のみで日本の年間の新車販売台数を超える536万台(2022年)が販売され、上海モーターショーでは、こうした勢いが顕著に感じられた。
中国で電気自動車最大手の比亜迪(BYD)は、スポーツタイプとSUVタイプの超高級EV車を各109万8千元(約2,150万円)で発表した。一方で、低価格EV車の販売を7万9千元(約155万円)でスタートし、発表後24時間で1万台を超える受注予約を達成した。日系メーカーが水素自動車の低価格化や合成燃料の実用化など次の一手を模索するのに対して、EVバッテリー生産の環境が整う中国メーカーは、リチウムイオン電池の低価格化を背景に、当面は価格競争力の高まるEV車の販売に注力していくとみられる。
また、もう一例は、自動運転などソフトウェア技術の導入である。中国の配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)は、完全自動運転で運転席のないコンセプトカーを出品した。中国では、既に無人運転タクシーによるサービス提供が始まっており、こうしたコンセプトカーであっても数年で実用化されるだろうとの現実味を感じさせる。バイドゥやファーウェイなどIT大手も自社技術を使った車両を発表し、官民一体で先端技術の実装が進む市場で開催されたイベントは、多くの来場者で賑わった。