上海証券市場は1991年7月に開場し、中国経済の発展とともに成長を続けている。近年は金融機関等だけでなく、多くの一般市民も株式を購入し、市場の動向に一喜一憂する様子が、連日テレビ等で報道されている。
個人の株式投資が盛んなことの理由としては、成長率は鈍化しているものの経済成長が続いていることから証券市場が堅調であることや、銀行への預金と比較した場合にリスクはあるものの利幅が大きい株式への投資のほうが中国人の気質に合っていること等が挙げられている。銀行の定期預金は1年定期で年利3%以上、大手銀行等が取り扱う金融商品の中には年利5%を保証しているものもあるが、中国人にとっては利幅が少なく、魅力がないと映るという話を聞いたことがある。低金利が常態化している日本人からすると信じ難い反面、うらやましくも思う。
上海証券市場は2007年5月30日に前日の総合指数から6.5%下落を記録し、「股市530事件」(股市は株式市場を意味する)として記憶されている。中国政府が印紙税の税率を前日29日に突然1%から3%に引き上げたことが暴落の原因とされているが、証券市場に与えた影響は大きく、翌年以降も5月30日前後は大きな下落を記録している。今年は30日が日曜日であったことからか28日に暴落となった。前週には総合指数が5,000の大台を超える期待もあったが、28日はほぼ全面安となり、総合指数は4,620まで下降した。
今回の下落については、国営の投資機関が保有している銀行株を売却するというニュースが報道されたことや、例年同様に5月30日には株価が下落するだろうという憶測に市場が影響されたなどの分析がなされた一方、市民の株式投資への関心は変わっていない。知りあいの中国人の中にも株式投資を行っている人が多いが、「今回は損をしたが、株価は必ず回復する」「自分の知識が足りなかった事が原因であり、市場を理解して次回は大きく利益を出す」といったように前向きである。