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中国旅行社セールスにおけるファムトリップ(視察ツアー)の重要性(2024年9月号)

 県上海事務所は、8月2~7日に中国旅行社の商品企画担当者を県内に招へいし、県内の観光素材を売り込むファムトリップ(視察ツアー)を開催した。
 今回のツアーには、団体旅行で競争力のある北京市、上海市、杭州市、広州市、西安市の12 社が参加した。中国東方航空の上海-静岡便を利用して、6日間の日程で浜松から下田まで県内を周遊するとともに、静岡市内で県内観光事業者(24 社)との商談会を開催した。

  参加した各旅行社によれば、日中の地方路線が相次いで就航したコロナ前は、地方を目的地とするツアーが意欲的に企画・販売されたが、コロナ後の路線復便は東京・大阪に集中し、現在の旅行商品は大阪着・東京発などのゴールデンルートが大半だという。
 本県の印象を尋ねると「ゴールデンルートから無理なく立ち寄れる好立地で、中国東方航空(上海線)や北京首都航空(杭州線)のチケット価格次第では、東京・大阪の発着地を静岡に替えることも可能」と評価される一方、「既存商品のルート変更は担当者としてリスクを負うため、確たる自信がなければ行程は変更したくない」との本音も打ち明けてくれた。端的に言えば、中国の旅行社は「自分がよく知らない場所は売りたくない」のだ。

 こうした不安の払拭には、ファムトリップが最も効果的といえる。伊豆シャボテン公園では「カピパラの毛が固い!」と驚き、土肥金山では「砂金が7粒とれた!」と大喜び、熱海海上花火大会では「花火の音が腹に響く!」と目を丸くして驚く様子は、アテンド役の我々が手ごたえを感じる瞬間だ。
 視察を通じて静岡を体感した担当者の行動は驚くほど早い。西安の旅行社では、帰着して3週間で伊豆シャボテン公園と掛川花鳥園を組み込んだツアーの販売が開始された。秋は中秋節(9月)、国慶節(10 月)と中華圏は大型連休が続くため、上海事務所は各社への継続的なフォローを通じて、更なる商品造成につなげていく。

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