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人生最大のイベント「高考(ガオカオ)」に挑んだ1,342 万人の受験生(2024年7月号)

 中国では、6月7~9日に「日本の大学入学共通テスト」にあたる高考(ガオカオ)が行われた。志願者数は日本の共通テスト(約50 万人)の27 倍で、ほぼ一発勝負で進学先が決まるため、現地は特殊な緊張感に包まれる3日間だ。

  中国のSNSの一つである「小紅書」では、試験前夜に数百人の教師・在校生が国旗やペンライトを振って受験生を送り出す様子や、爆竹や煙幕がたかれる中、試験会場へ向かう十数台のバスを地域住民が総出で見送る地方都市の様子が次々とアップされた。まるで戦地に赴く家族を見送るかのような映像に多くの「いいね!」がつくのは、中国人の多くが、その過酷さを身をもって体験しているからだろう。大学や駅など街中にはパトカーや白バイが待機し、渋滞で遅れそうな受験生をサイレンを鳴らして先導するのは、中国でもおなじみの光景だ。

 息子が高考を終えたという地方都市の母親によると、この高考が小学校から高校までの12年間にわたる「我慢の青春時代」の集大成で、試験最終日には、多くの家族が花束やメッセージボードを持って会場出口に駆けつけ、泣きながら、笑いながら我が子の努力を労ったという。「大学に行ったら旅行も恋愛も、これまで我慢してきたことに挑戦して自分の人生を歩んでいって欲しい」と話す彼女の言葉に、中国の熾烈な競争社会を垣間見た気がした。

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