事務所だより

駐在員トピックス

中国人旅行客が不思議に感じる「おもてなし大国!?ニッポン」の変化(2024年3月号)

『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞社)などの著書があり、日本で中国ウォッチャーとして活躍する中島恵氏のコラムが、現地駐在員の間で話題となったので紹介したい。要約すると、「これまで日本を愛して足繁く通ってきた中国人旅行者が、日本の各地で心ないサービスを受けたり、釣銭を間違えられるなど、憧れてきた国とは思えないサービスを受けることが増えている」というものだ。

今から20年前の中国では、駅に切符を買いに行けば「没有(ないよ)」と言われ、タクシーに乗れば遠回りをされることが日常茶飯事だったが、現在の中国では、日本以上に明るく丁寧なサービスを受けられるというのが日本人駐在員の率直な感覚だ。その理由の1つが、「IT技術を社会システムに組込むことが非常に上手い」ことだ。例えばタクシーを利用する時、中国では「滴滴」などの配車アプリを使うのが一般的だが、乗客の携帯電話には目的地までのルートと概算額が表示される。ドライバーも乗客と同じアプリを表示して目的地に向かうため、料金の誤差は少なく、下車時にドライバーの評価をすることで、その後の受注にも差がつくようになっている。

また飲食店では、「大衆点評」という口コミサイトが大きな影響力を持っている。高評価の店は、味はもちろん接客も丁寧で、食後には「慢走!(お気をつけて!)」と元気な声で送り出される。先日、友人が利用した飲食店の食事内容に不満があり低評価をつけると、店側からすぐに連絡があり、その理由を伝えたところ、飲食代金が返金されるなど対応も迅速だ。

中国では、ほぼ全ての支払いがWeChat ペイ、アリペイといったスマートフォンのアプリで行われており、クレームがあれば利用日時や食事をしたテーブルまですぐに確認できる。この数年でIT技術を用いて顧客サービスの水準を一気に引き上げている中国の人々にとって、 日本のレジで釣銭を間違えられるなどのミスは、残念であるとともに不思議にも映るようだ。

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