9月19日から22日にかけて、日本富士山協会の会員が山東省泰安市を訪問した。静岡県からは、協会の顧問である知事の代理として、難波喬司副知事が参加した。
2007年4月、来日した温家宝首相(当時)が国会で記念演説を行った際、「中日両国人民の友好の土台は泰山と富士山のように決して動揺することはない」と演説したことが端緒となり、静岡、山梨両県と関係市町村等で構成する日本富士山協会が、同年、泰山のある泰安市との間で両山地域の友好交流を図る目的で「友好山提携」を結んだ。
その後、提携に基づき、訪問団の相互派遣交流を実施してきたが、日中情勢の悪化により、2011年を最後に本格的な交流が途絶えており、今回は4年ぶり、3回目となる泰安市訪問となった。
21日に行われた王雲鵬・泰安市長への表敬訪問は、終始和やかな雰囲気のうちに行われ、協会側からの呼び掛けに応じ、市長からは、来年の富士山地域への訪問を前向きに検討する旨の発言があり、相互交流の再開に向けて大きく前進した。
泰山は、中国の歴史に興味のある方にとっては極めて魅力的な場所である。道教の聖地五岳の中でも最も尊い山とされ、また、秦の始皇帝以降、歴代の皇帝が「封禅の儀」と呼ばれる即位の儀式を行った場所であり、1987年には世界遺産にも登録されている。
協会の一行と共に泰山に登る機会を得たが、崖壁に刻まれた多くの碑文、行程中の景色は、中国ファンならずとも魅了されるだろう。
今回、協会の一行は、富士山静岡空港からの直行便で南京禄口国際空港に降り、南京から高速鉄道を使って、その日のうちに泰安市に到着した。泰山は、市中心部からのアクセスが良い上に、泰安市からは、孔子の故郷として知られ、世界遺産に登録されている「孔廟・孔府・孔林」を有する曲阜へも車で1時間程度で行くことが出来る。
富士山静岡空港を利用して、多くの日本人が、中国を代表する観光地に足を運ぶことを期待したい。